「しあわせⅠ・Ⅱ」



【着想】
“よろこび”ってどういうものかなぁと思っていた中で湧いてきたイメージ。作品の全体像が見えてきたくらいに、これはよろこびじゃなくて、「しあわせ」だなと感じて、このタイトル(テーマ)になった。


【原案】
Ⅰのイメージが先に浮かんで、連関的にⅡのイメージが浮かんだ。
Ⅰは目に見えない世界で、目を閉じればよろこび/しあわせはどこにでもたくさんある、Ⅱは、人の様子で、人は目を開いて必死に一つの輝きに手を伸ばす、それは既に手の中にあるっていう思いをそれぞれもっている。まあでもこれも、あまり考えてはいない。ゆる~いイメージである。この原案のゆるいイメージを粘土と紙に落とし込むのに少し悩んだ。特にⅠのほうは、原案とは少し変わってしまった印象がある。


【制作中】
粘土で形を作るのが少し難しかったが、終始楽しく作ることができた。絶対いいものになるという謎の確信とどうなるかなというわくわくがあった。この作品には、初めて自分のイメージを形にできたというか、自分の作りたいものを作ることができたという満足感を感じた。

【制作を終えて】
今見ると、キャンバスではなく画用紙と安い石粉粘土で作っているために、全体的につたないなと思うが、これはこれで良いとも思う。
また、作った当時はⅡの幸せのあり方に少なからず否定的な感情を抱いていたが、いまは、これが人間にとっての幸せなのかと腑に落ちたし、人間はすでに持っていたり、自分のそばにあったりする幸せを受け入れるのに、決死の思いが必要なのかもしれないという気付きも出てきた。また、Ⅰに関しては、目を閉じて感じられるのは「生」で、生きていることそのものが幸せということかもなと思った。
わたしは直感的なものを形にしているため、作った自分でも見る時期によって見方や感じることが違って面白いなと思う。
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